某ブライダル施設のFRP装飾建材の施工現場　

兵庫県内の美しい自然に囲まれた某ブライダル施設にて、アートホクストンは今回、FRP製の装飾建材を用いた窓枠モールおよびベル用アーチの施工を行いました。華やかさと重厚感、そして記憶に残る空間づくりが求められるブライダル施設において、装飾建材の果たす役割は非常に重要です。今回は、意匠性・施工性・安全性のすべてに配慮したうえで、FRP（繊維強化プラスチック）という素材の特長を活かした柔軟な対応を行いました。

施工させていただいたのは、施設正面の象徴ともいえるベルを設置するためのアーチと、それを囲む窓枠モールです。式を挙げるお二人が鐘を鳴らすセレモニーの場であり、多くの写真撮影が行われる場所でもあるため、その意匠には一切の妥協が許されません。今回も、設計段階から詳細な打ち合わせを重ねながら、FRP建材の設計、製作、現場施工まで一貫して弊社が担当させていただきました。

特筆すべきは、大理石仕上げの柱の頭部に巻き付けたFRP製のモールディングです。FRPは自由度の高い成形が可能なため、円柱のような曲面構造にも柔軟に対応することができます。今回のモールディングは、既存の大理石柱に合わせて現場採寸を行い、その寸法にジャストフィットするように製作。仕上がりに隙間が出ないよう、精度の高い加工が求められました。現場では慎重に巻き付け施工を行い、継ぎ目には専用のFRPパテとコーキングを用いて滑らかに仕上げています。最終的に塗装を施すことで、まるで石材の装飾のような質感と立体感が得られています。

また、ベル用アーチの施工には構造的な工夫も多く取り入れられました。FRPはあくまでも装飾材であり、荷重を支えるための構造材としては不向きです。そのため、今回はアーチ全体の内部に鉄骨下地を仕込み、そのうえにFRP部材を“半割り合わせ”という方法で取り付ける構造を採用しました。この方法により、意匠性と強度の両立が可能となり、アーチとしての美しさだけでなく、安全性・耐久性も確保されています。

半割り合わせとは、FRP部材を左右または上下に分割して製作し、現場でそれを合わせて一体化させる施工方法です。特にアーチのような曲線形状では、工場で一体化したまま搬入することが難しく、現場での組み立てが現実的な解決策となります。今回も、事前に現場下地となる鉄骨寸法を正確に反映した部材を用意し、現場で組み立てることで、美しく滑らかなアーチを完成させました。アーチの上部はベルの取り付けに対応できるよう設計されており、周囲からの視線にも配慮した優雅なカーブが印象的です。

このFRP製アーチは、写真映えするポイントとしても非常に重要です。ブライダル施設においては、式当日だけでなく、パンフレット、WEBサイト、広告など多くの場面で施設の顔として登場するエリアになります。そのため、経年による色褪せやクラック（ひび割れ）などを防ぐために、塗装には高耐候性塗料とトップコートを使用し、長期間にわたる美観維持にも配慮しました。

また、アーチの背面には、過去に弊社が施工させていただいたロートアイアン製の門扉やフェンスも写り込んでおり、空間全体としての調和も生まれています。このように、FRP、アイアン、アルミ鋳物といった異素材を組み合わせたトータルな空間提案が可能である点も、アートホクストンの大きな強みです。それぞれの素材の特長を理解したうえで最適な提案を行い、意匠・構造・コストのバランスを調整しながら、理想的な空間を具現化します。

今回のようなFRP建材の施工では、搬入ルート、現場の制約、他業者との工期調整など多くの課題がありますが、アートホクストンではこれまでの豊富な施工経験をもとに、あらゆる現場条件に対応可能です。設計段階からのご相談にも対応しておりますので、図面段階からの調整や、試作品のご提案、現場下見なども承っております。

FRP装飾建材は、軽量でありながら高い意匠性を実現できる理想的な建材として、商業施設や文化施設、個人邸宅などさまざまな建築物での採用が増えています。特に、柱やアーチ、レリーフ、バラスター、モールディングなどの意匠パーツにおいては、従来の石材やコンクリートに代わる素材として注目されており、施工性・経済性に優れたソリューションを提供します。

アートホクストンでは、東京・大阪・名古屋の各営業所にて全国対応が可能です。FRP装飾建材に限らず、ロートアイアン、ロートアルミ、アルミ鋳物、EPS、GRCなど、建築装飾に関するあらゆる素材に精通したスタッフが対応いたします。これから建物の新築や改修をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。初回のご相談や資料請求は、弊社ホームページのお問合せフォームからも承っております。

次回のブログでは、今回のブライダル施設にて弊社が施工したロートアイアン製門扉およびフェンスの詳細なご紹介を予定しております。空間全体の連続性と美しさをご確認いただける内容となっておりますので、ぜひご覧ください。